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「どうしました?」
「いや、先に談話室に方に来てくれないか? 食事もまだだろ」
「? 構いませんが」
確かに腹は多少減っている。だが、できるだけ早く手を付けてしまいたい様子の手紙だったのだが。
思いながらも拒む事はなく、案内されるままに談話室の前に立つ。そのまま何の警戒もなくドアを開けたゼロスは、中にいる二人の人物に足を止めた。
肩までのアイスブロンドに、エメラルドグリーンの瞳を期待に輝かせた人物が、ドアを開けたゼロスを見て腰を浮かせる。その顔は微かにだが覚えがあるが、当然ここにいるわけがない。
だが、隣の人物がセットとなれば話は別だ。
短い銀の髪に、緑と黄色を混ぜた様な独特の明るい色の瞳。長身で端正な顔をしたその人物までもがいる。
固まったゼロスは、数十秒後には回れ右をしてこの場を離れようとした。これはきっと何かの間違いで、夢を見ているはずだ。疲れているんだと思い込もうとした。
だがクラウルがそれを止めたので、あえなく失敗に終わる。腕を掴む熱い手が、現実だとしらしめるのだから。
「場違いです。失礼します」
「いや、これは…」
「俺を欺して何を企んでいるんですか?」
「ちがう! これは、その…」
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