秘密は無しでお願いします(ゼロス)

2/10
前へ
/42ページ
次へ
「どうしました?」 「いや、先に談話室に方に来てくれないか? 食事もまだだろ」 「? 構いませんが」  確かに腹は多少減っている。だが、できるだけ早く手を付けてしまいたい様子の手紙だったのだが。  思いながらも拒む事はなく、案内されるままに談話室の前に立つ。そのまま何の警戒もなくドアを開けたゼロスは、中にいる二人の人物に足を止めた。  肩までのアイスブロンドに、エメラルドグリーンの瞳を期待に輝かせた人物が、ドアを開けたゼロスを見て腰を浮かせる。その顔は微かにだが覚えがあるが、当然ここにいるわけがない。  だが、隣の人物がセットとなれば話は別だ。  短い銀の髪に、緑と黄色を混ぜた様な独特の明るい色の瞳。長身で端正な顔をしたその人物までもがいる。  固まったゼロスは、数十秒後には回れ右をしてこの場を離れようとした。これはきっと何かの間違いで、夢を見ているはずだ。疲れているんだと思い込もうとした。  だがクラウルがそれを止めたので、あえなく失敗に終わる。腕を掴む熱い手が、現実だとしらしめるのだから。 「場違いです。失礼します」 「いや、これは…」 「俺を欺して何を企んでいるんですか?」 「ちがう! これは、その…」     
/42ページ

最初のコメントを投稿しよう!

364人が本棚に入れています
本棚に追加