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弄る事には慣れていても、弄られる事には慣れていない。けれどキッパリと言い切ったのは、クラウルの事を無愛想と言われたから。
相手が誰であろうと、心を寄せる相手をそのように言われては面白くない。更に言えば自分よりもクラウルの事を知っている二人に少しだけ面白くない気持ちもある。
カールやヴィンセントばかりか、クラウルまでもが驚いた顔をしている。そしてクラウルだけは、カッと赤くなっていった。
「なんですか、その顔。そんなに俺は意外な事を言った覚えはありませんが」
「いや…そんなに愛されていたのかと」
「失礼です、クラウル様。俺の事を散々にしておいて」
「いや、そういうわけじゃないんだ!」
なんだか色々とふて腐れたように言ってしまうのは、最初に欺されたという部分を許し切れていない事と、幼馴染みの二人にはどうしたって敵わない事、そして自分の想いが案外伝わっていないのかと思った事もあってだ。
すっかり臍を曲げたゼロスに、クラウルはアタフタしている。
そしてそんな様子を見たカールが楽しげに笑いながら腰を上げた。
「クラウル、今日の所は私達は退散するよ」
「だがカール…」
「クラウル、人の気遣いは受け取っておけ。お前の恋人は虫の居所が悪いらしい。機嫌を取ってやらないと、後が怖いよ」
「ヴィン、お前まで…」
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