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序章3
「ヒョウガ、歳聞いていいかしら?」
「はたち・・・かな」
とっさにそう応えると、ミサは嬉しそうに満面の笑みを浮かべた。
「ほんとに?同い年よ。なんか同世代って落ち着くわね」
「そういえば、舞台上から皆を見渡したら、ほとんどというか、若者しか居なかった。もしかしたら若者だけを集めているのかも知れない」
あのおじさんの目的も分からないし、今はまだ謎が多いな。
「そうなの?・・・何か関係ありそうね・・・あぁそろそろあたし帰らなくちゃ。また明日ね」
「あぁ」
感覚的には10時くらいだろうか。
結構人もまばらになってきたし、そろそろ部屋に行ってみるか。
中央に小さく1~50と刻まれた扉を開けると、真っ先に目に入った床には色のトーンを落とした赤いじゅうたんが敷かれていた。
1番向こうの壁がとても小さく見えるくらい廊下がまっすぐに続いていて、すぐ脇に階段があることから1階と2階に別れていることが分かった。
カードキーで扉を開けると、内装や広さまで、いかにも高級ホテルの部屋といった印象を受けた。
だからといってトキメキや胸の高鳴りとかはない。
ベッドがあり、枕元の隣にデジタル時計内蔵のサイドテーブルがある。
実際のところ、それで充分だ。
朝日が窓を抜けて部屋を明るくし始めた頃に静かに起き上がり、時計を見る。
6時半過ぎだ。
確か朝食は7時だったはずだよな。
廊下に出てみると、何人かも同じように朝食に向かっているのが見えた。
「おはよう」
ホールに向かう途中にふと話し掛けてきた人に顔を向ける。
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