序章1

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何か薄暗いな・・・。 そう思っていると、入ってきた人を何となく見る人達が見えたり、照明が薄暗いせいか、音量を落とした話し声があちこちで聞こえたりした。 壁沿いに立っているウェイターに気がつくと、ウェイターは歩き出すのを促すかのようにある方へと手を差し出す。 その方には空いている席があるテーブルがあったので、並んだテーブル達を眺めながら、唯一空いていた1番手前で右端のテーブルの椅子に座った。 すると全員揃ったのを見計らったかのように急に照明が明るくなり、会場全体を照らし出していった。 何だろう、この人達・・・。 少し眩しいが、前方に目をやると会場を見渡せるくらいの高さがある舞台があり、舞台には1本のスタンドマイクと人が1人立っていた。 そんな時に後方からウェイトレス達が現れると、どこから出てきたかも分からない大勢のウェイトレス達は瞬く間に皆に料理を運び、グラスに飲み物を注いでいった。 ふと鼻をついた食べ物の匂いに、こんな状況でもお腹が空いていたことに気がついた。 食器の並びからしてきっとコース料理だろうけど、食べて良いのかな? 「それでは、全て揃ったところで、まずはお食事とご歓談をお楽しみ下さい」 急に声が聞こえたので顔を向けてみると、マイクの前に立っているのが男性だと確認出来た。 ここからだと少し遠いが、痩せ型ではないが筋肉質でもない、眼鏡を掛けた中年の男性に見える。 だけど、食事をするにしても、コース料理に対してのテーブルマナーとか分からないしな。 何でフォークが2つもあるんだろ。 ふと右側に座っている2人の若い女性がしている話に聞き耳を立ててみると、テーブルマナーについての話をしていることが何となく分かった。 どうやら奥の方の席のパーティー会場に相応しそうな服装の女性が、手前のラフな服装の女性にテーブルマナーを教えているようだ。
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