後章

18/43
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/77ページ
☆ 夜風が流れて、さざ波のように葉音が広がる。 あらゆる物音を包み隠してしまう一瞬に、 隠れていた影が飛び出した。 目と鼻の先の目的地へと、突進と同時に手を伸ばす。 ──木々の中に、唐突に存在する白い扉。 「おかえり」 が、計算の利いた正確な動きは、 葉音を打ち消す背後からの声に阻まれた。 びくっとして振り向いたのは、 狐の形をした黄色い影。 振り向いた先、月の明るい場所に歩み出たのは、 その知り合いでこの家の家主。
/77ページ

最初のコメントを投稿しよう!