後章

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「何よぉ、こんな寒い所で」 「何じゃない、友達の使い方間違ってんでしょうが」 二階の高さで吹きさらしだから、 確かにこの季節は寒い。 だが今は寒さとかどうでもいい。 「そうかなあ、我ながら結構穿(うが)ってると思うけど。 だってさ、暴れたくない? あの部長さんを相手に、暴れたくない?」 「わたしをどんな人間だと思ってんの? いや、その前にさ──」 冷えた風をはねのけるように、ぱっと黒髪を翻して。 「栗子は知ってるの? わたしと日比谷ちゃんのこういう感じ。 ちなみにわたしは、そっちの関係初耳よ。 さっきから地味にびっくりしてるんだけど」 丸みがかった美沙の目が、大仰にぱちくりとした。
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