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「…あれ、そうだっけ?」
「そうよ。動く前にいろいろ省きすぎよ」
「そっかあ、ごめん。
じゃあ近いうち三人で会うことにして、あれこれ話すのもその時にして、今はとりあえず行こう!」
「やっぱり言ってないのか! あんたはその場しのぎの女か!」
「その場もしのげずして明日はない!」
「そのどうしようもない座右の銘今すぐ捨てなさい!」
てけてけと逃げるように動きが再開されるから、
追いかける形でこちらも走る。
吹きさらしの角を曲がり、また曲がり、
とそこまで来て、美沙の足が唐突に止まった。
いや、自分もだ。
辺りはすっかり宵の闇。
蛍光灯に照らされた二階の渡り廊下。
ラウンジの出入口を正面に見るそこまで来れば、
いつの間にか場の人数が増えていた。
足された数は、総勢五人。
「あの……え、一緒に?」
そのうちの一人、この中では多分一番小柄な少女が、驚きの抜けない顔のままでそう言った。
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