後章

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* 吹きさらしの渡り廊下は寒い代わりに見通しが良い。 何やら時折じゃれあいながら、確かにこちらへ向かってくる二人の姿は、蛍光灯の白い光に照らされてだいぶ遠くから見えていた。 校内ではよく見かける光景だけれど、 この組み合わせは私には思いがけなかったりする。 「あら、順番逆になっちゃった」 より手前にいる美沙ちゃんが半笑いで独りごちた。 それとも後ろの子に言ったのだろうか。 これが本来の順番でしょ、と、なんだか会話の続きのように呆れ気味の返事が聞こえた。 とにかくも、この二人はいつの間にやらこういう感じになっていたらしい。 「友達? じゃ、待たせちゃ悪いわね。 私たちはこれで」 学校って狭いなぁ、なんて考えていたら、 横合いから現実に引き戻される声がした。 慌てて顔を向ければ、新しく来た二人とすれ違う形で立ち去ろうとする四人組。 それで、ますます慌てる羽目になる。 この硝子扉を追い出された昼休みからかれこれ四日目、そのくせ全く前進していない直談判なのに、 これ以上成果なしで終わるわけにはいかないのだ。 回りこむことはできなかったから、 声を張ってなんとか呼び止めようとする。 「ちょっと待ってくださーいっ!」 ───へ? いや、今のは私じゃない。
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