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「悪いけど、あなた一人に嫌われるくらい痛くもかゆくもないわ。これはね、半数に嫌われてなんぼの活動なの。こんなの日常茶飯事よ」
「哀しい日常。それに、半数どころか大多数から嫌われてるんじゃないですか? 事実と違うことばかり書いてるんだから」
「心外ねえ。嘘を書いた覚えはないわよ。もっとも、記事にするにあたって編集はしますけど?」
「編集? 創作の間違いじゃなくて?」
「編集よ。二回以上言わないと理解できないかしら」
それぞれの顔に冷笑が浮かぶ。
ああ、新たな面倒事が…。
なんだかぐったりした気持ちになって、
私は二人を視界からはずした。
気持ちを休めるつもりで、
通路から見える景色を眺める。
顔を向けたのは学校の裏門がある方で、
草刈りの手も届かないまま下草が高く伸びている。
日が暮れているせいで見通しはきかないけれど、絵画のように静かな中で、動くものはさすがに目立った。
裏門近くの草陰で動く、何やら狐の尻尾みたいなものとか、真っ先に頭に飛びこんで…。
「……狐?」
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