後章

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背筋に冷たい感覚が一瞬。 いや、まさか、そんなはずない。私の意識過剰だ。 そうに決まっている。 「どんなものでも面白く編集できるなら、特集記事だってネタにこだわる必要ないんじゃないですか? あ、この辺りにまだいるらしいっていう、 狐だか狸だかでも取材してみたら?」 はっとして振り向けば、私の呟き声を拾ったのか、 一騎討ちがとんでもない方向へ向かおうとしていた。 「へぇー、良いんじゃない、考えてあげるわ。 そっちがインタビューに応じてくれる狐でも探してきたらね」 「それは絶対だめ!」 ………あ。 「…田鍋さん?」 「ちょっと…何、本気で反応してるのよ…」 叫ぶように口を挟んだ私へ、口論を中断された二人が訝しむような引いたような目を向けてくる。 ちらと横を見れば、 端に並んだ四人からも唖然とした表情と視線……。 いや、その、違うんです。えぇっと。 何をどうすればいいかわからなくて、 出てこない言葉で口の中がいっぱいになる。 ひゅうっと寒風が吹き抜けて、気まずい静寂。 「わ……私っ、帰ります!」 はっきり言えたのはこれだけで、 言った次には足が動いて、 前の二人をすり抜けると私はその場から走り去った。 ☆
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