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「え?」
「私、確かマスメディア研究部の名前は言わなかったはずですけど」
まさか、自分で調べたりしたのだろうか。
マスコミさんにはホームページもあったし、
そこを探ったりして……あれ、
横宮さんちって、パソコンあったっけ。
「まあ、その点は気にしないとして」
あっ、ごまかした。
「とにかくもう暗いし、寒くなってきたから帰ろう。返事はさっき言った通りでよろしくね」
追及しようか迷ううちに、
さっさと話を打ち切られてしまう。
鞄を肩にかけ直しながら、私は仕方なく尋ねることを諦めた。いつの間にか何もかも知っているのは、
やっぱりこの人ならありえることだし。
やっと良くなってきた流れを、
変な質問で壊したくもない。
それに……。
「…ところで、横宮さん」
「ん?」
「……私と狐さんの様子、見えてました?」
「──答えてほしい?」
「…いえ…訊いてみただけです…」
怒鳴り声を聞かれただけでなく、
猫じゃらしに飛びつく猫よろしく尻尾に飛びついた光景をばっちり見られていた……
かもしれない事実を、
私はどうも拒絶したいようだった。
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