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猫のこと
私は猫である。名は....人間が私を呼ぶとき同じような音なので多分それが人間から付けられた名なのだろうが、正直ニャモニャモとしか聞こえない。仲間内では義太郎と呼ばれている。私は家族である人間に合わせて朝に起きて夜に眠るし、仲間たちもそうだ。
「おーい、義太郎」あれは隣の家でよく遊んでいる孝太郎じゃないか。
あいつは野良だがこの家の隣の人間に可愛がられている。だから野良の割には早起きだ。でもこの時間だと、早起きの人間に飼われているやつの方が起きている。今日はどうしたんだろう。
「近所にどっか遠いところから引っ越してきたやつがいるんだ」
「なるほど。つまり、通訳をしてほしいってことだな」
「そうだよ、いっつもお前は先祖は人間につれられて英国から来たんだって言ってるじゃないか」
確かに、確かに私はそう言っている。しかし、
「それは事実だが、それは十代以上前の先祖の話で、私は生まれてからずっとこの辺りに住んでいるんだから通訳なんかできるわけがないだろう。それより、いつも通訳をするリックはどうしたんだ」
「リックか......そういえば一昨日くらいから見てないな。まあとりあえず、その引っ越してきたやつのところに行ってみようぜ」
「いいだろう」
私たちは走り出した。
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