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「私では、お前を満足に愛してやれない」
「いいよ、俺が愛すから」
「何をバカな事を……この足は、微塵も動かないんだ。あの日、お前に出逢わなければ私は生きてはいなかったかも知れない。お前に会いたくて探し回って、ようやくあの港で見つけた。だが、長く手元に置けば手放し難くなってしまう」
「だから週に一回だったの? 態と酷い態度で、意地悪い事ばっかり言ってたの? 演技が下手だね、ユアン様」
「悪かった……。大人になって同情や情けを知ったお前に、憐みの目を向けられるのが怖かったんだ」
「嫌われるのは怖くなかったんだ?」
「嫌われた方が良いだろう? お前にはもっと健全で相応しい相手がいる。だが……あんな酷い態度を取ってでも、お前に触れるのを止められなかった」
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