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ユアンが仕事部屋にしている部屋の扉を二度、ノックする。
「ロイか」
「お呼びと聞きました、ユアン様」
これもテンプレで、カーターから教えて貰った通りの科白をドアを開け開口一番に吐く。
五歳で孤児になって十七年、路上で暮らしたロイには、教養もなければマナーなんてものは腹の足しにもならない。
「入りなさい」
「失礼します」
彫刻のように美しい顔立ちと、蜂蜜を垂らした様な眩しいブロンド、世界で一番高価な値がつく宝石があるとしたら、ユアンの眸がそうじゃないかと思う程、ユアンの眸は深く瑞々しいナイトブルーだ。
メランコリックで魅惑的なその眸を見る度に、こんなに美しい人間がいるものだろうかと思わされる。
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