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言う事成す事酷い割には、ロイは一度もユアンと繋がった事がない。
指や口で弄られるだけで、キスもして貰った事はなかった。
どんなに酷く口汚く罵られても、ロイが五年間ユアンの元に通い続けたのは、ロイがユアンの悲しい嘘に気付いていたからだ。
「ユアン様……」
ロイはこの五年で強請り方を覚えた。
ユアンが引出から取り出した潤滑剤を指にたっぷりと取り、ユアンの指の形を知っているロイの後孔はすんなりとそれを奥まで誘い込む。
息を飲んだ瞬間の閉塞感の後、ズルリと入り込んで来る長い指は、ロイの柔らかい内壁を遡り、その指の動きと共に甘い慄えが背筋を這い上がった。
ユアンがいつも使っているその潤滑剤には、媚薬が混ざっている事もロイは知っている。
「はっ……あっ、ユ……アンさまっ……」
「端ないヤツだ。今入れたばかりだぞ」
冷たく竦む様な感触の後に、内側から熱を孕んでジワジワと焦燥が這い上がる。
十八でこの快感を得てから、ロイは決して抱いてはくれないユアンの代わりに、男を求めて何度か寝てみた。
だが、誰に抱かれてもユアン程の悦楽をくれる男はおらず、いつも孔の奥が疼いてしょうがないのだ。
それが薬のせいではない事くらい、ロイも分かっている。
「あ、……やっ、抜くのっ……あっ……」
勢いよく指を抜かれると、体の芯から何かが抜け落ちる様な気がする。
ゆっくりと最奥まで浸食した後、ズルリと勢いよく指を引き抜かれる度にロイは惜しげもなく身を捩る。
その感覚は何度も繰り返されると、理性の塊が抜け落ちて行く様な、そんな錯覚すら起こしてしまう。
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