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俺は寝ている妻を起こさないように注意しながら、バスルームへ向かい、バスタオルをひっつかんで声を押し殺して泣いた。教えてくれたらいいのに、あのバカ、という気持ちと、いや、そうしていたら結婚なんて一生することなく空しく一人で暮らすことになっていたからこれでよかった、という気持ちがせめぎ合い、頭をぐるぐる回っていた。
泣き疲れた俺は友人にこの性悪野郎め!とだけ送って眠った。
そして、目を覚ました時、俺がいつか天国に行った時まで、この想いは元彼の手紙ごと引き出しの奥底に封印しようとに決めた。正直、妻のことを好き、というわけではないけれど、今後情も湧いてくるだろうし、妻を大事にすること、そして、子供を作って可愛がること。それが元彼のために一番いいように思ったからだ。
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