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生きるものはなぜ生まれ死んでいくのだろう、こんなことを考えても答えは永遠に出ない。
ただ、ここにいるそれだけしかわからないと僕は考える。
人は同じような構造をしているのに一般的な基準がち違うだけで同じ人類だとは思いもしない。
正しいのは己と同じものだけ、多数が正しいと考えている。
僕の何が違うのだ、、
同じように生まれ、同じように育つのに、ただ、事故に出会っただけで、珍獣扱いされるとは、、
ただ、左手がないだけで、ただ、左眼がないだけで、
異様なものをみて、陰口を囁くのは人であるがゆえだあろう。
だが、この世界に人でない者が生きている。
それはときに残酷で、善にもなり得る。
その呼び名は数多くあるが、僕は悪魔と呼ぶことにしている。
僕の名前は蒼夜瞑、よく女だと聞いただけで思われることにはもう慣れた。
眼が有った穴には青色の義眼を入れている。青が好きだからだ。
左手は、、何もしていない、
悪魔と言ってもいろいろあると思うが、僕が出会ったあいつは公平だった。
子供にとって両親は一番大切な存在だ、その存在が一瞬の出来事で消えることがどれだけ恐ろしいか、体験した者にしか分からない。
事故に会い、意識がもうろうとしているときにあいつは囁いた。
「君の両親は死んでしまうが、死んでも会える力を君に上げてもよいが、いかがかな?」
子供にこんな質問するとは恐ろしいね。
大半の子供はハイとしか言わないと思う。それを知っていて聞いたのだ。
「そうかい、力が欲しいかい、でも、この世界にタダなんてないんだよ、対価を払ってもらうよ」
その言葉を聞いて目が覚めた時には眼と左手はなくなっていた。
事故で親を亡くし、一般人扱いされないこの体だけがここにある。
親族のおばさんはいい人で僕を大学卒業するまで世話をしてくれた。おばさんはこの力を才能だと言ってくれたが、僕にはそう思えない。無い物を補う生活を何十年もしていれば苦になることはなくなるが、それを社会が受け入れるかは別問題だ。
ひねくれたのは誰のせいでもない、
環境がそうさせたのだ。
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