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太陽の光がビルの隙間をすり抜けて窓を超え、流れ込んでくる。
朝日の眩しさに目を覚ます、蒼夜。
「ああ、もう朝か」
無意識にテレビの電源を入れる蒼夜。
「ニュースをお伝えします。昨日、高校2年生の女子生徒が車と接触し死亡致しました、、、」
リモコンで電源を消す蒼夜。
「事故はどこも絶えないね」
テレビのニュースは事故や事件を語った後で、何もおきやしないように愛敬をふりまいている。そう感じる蒼夜。
一階につながる階段をゆっくりと降りていく。
一階は喫茶実葛の店舗である。
「蒼夜、おはよう、昨日も遅かったようだね、随分髪が乱れているよ」
「どうも、阿久井さん、外見は余り興味ないので、これはこれでいいんです」
「朝食は何にする?俺の新メニューもあるが、、」
「そうですね、オムライスでお願いします」
「またかい、好きだね、オムライス。たまには新メニュー食べてくれよ」
「そのうち食べますよ、完成したらですけど」
「いや~厳しいとこ突くよね蒼夜君、何とか完成させるけど、今日もお客さん来てるよ」
阿久井が顔を斜めに動かし教えてくれた先には横田がいた。
「蒼夜君、頼みがある!」
横田はそういって蒼夜に頭を下げた。
「会って、早々なんですか、また、いつものですよね、いいですよ。お代は先払いできるのなら」
横田は苦しそうに目をしょぼませ、唇をかんで言った。
「分かってる、分かっているよ、でもね~解決しない事にはお金が入ってこないんだよ~」
手を擦り合わせて頼み込んでくるこのやり方はいつもの事だ、横田が今まで、真面目に提示して額を払ったことはない。
この横田という男、元警官であるが、現在の仕事は葬儀屋である。なぜこの転職をしたのかは蒼夜との出会いがきっかけとなった。
「蒼夜君とりあえず、食べたら行くよ」
「せかされても急ぎませんよ」
なかば強引に朝食を終わらされた蒼夜は横田の車に乗せられ依頼人宅に向かった。
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