転生勇者は無双する《転生勇者三部作の二》

5/8
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
 西洋剣術大会の運営委員に聞いて控室に来たんだろう。 「あれ? 一人かい? 今誰かと話してなかった?」  聞かれてたら面倒だな……。とりあえず誤魔化しておく。 「誰もいませんよ。鳥足さんは大丈夫ですか、頭は」 「ひどいなぁ、それじゃあ僕の頭が悪いみたいじゃないかぁ。ははは」 「いえ、そんなつもりじゃ」 「わかってるよ、わかってる」  なんだこの人、試合とキャラが全然違う。もっと渋い人かと思ってた。 「表彰式が始まるよ」  ああ、呼びに来たのか。一緒に会場に向かうことにした。 「ねぇ、宵東君。最後の、魔王ってなんだい?」 「え?」  こいつ気絶してなかったのか? 迂闊に言うんじゃなかった……。でも、言っても信用しないだろう。 「僕の前世は、異世界の勇者でした」  あえてストレートに言ってみたが、案の定、豆鉄砲を食らった鳩のような顔している。そして、大笑いして言ってきた。 「宵東君は面白いことを言うねっ。さっきまでの鬼のような剣士からは想像ができなかったよ。前世が勇者か」  鬼のような、ね。勇者なんだけどな……。鬼みたいって言われるのはキツイな。だいたいこの人だって全然()じゃないし。 「鳥足さんこそ、《侍》って言われてる割には、おちゃらけてますね」 「《侍》なんて試合中の僕しか知らない人達が勝手に付けた名前だしね」 「僕の《剣鬼》ってのも、同じですね」 「でも《剣鬼》ってのは的を得ているよ。あの時の君は恐ろしかった。一撃一撃が命を取りに来てたよね」  モンスターと戦いまくってたから自然と出ちゃうんだよ。殺気。  世界が違えば、殺気の受け取り方がこうも違うのか。  というか、あなただってすごい殺気でしたけど? 「それは鳥足さんもですよ。最後の居合なんて真っ二つにされるかと」 「でもあれはずるいよなぁ、飛び上がるなんてさ。あれこそ異世界の剣技ってやつ?」  案外異世界話は受け入れらているな。まぁ、異世界ではよく使われる身体技術だから本当のことなんだけど。  できる人は多いから魔王に通用するスキルではない。 「ええ、そうです。でも魔王には通用しなかった」 「あはは、出た、魔王! 魔王と戦った勇者か。そりゃ勝てるわけないよな」  んー、やっぱりちょっと異世界話は軽く考えられているな。というかちょっと馬鹿にされてる? 
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!