理想のカレ氏

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 でも今日は誘われようと思った。 「いいわ。行きましょう」  カレとのつき合いは決して短くはない。だからそろそろ決心してもいいかな、と早奈は思わないでもなかった。イケメンで優しく、わたしを理解してくれている──なにも迷うことはない……はずなのだけれども。  が、不安が大きいのもまた本当だった。  それは単なる気のせいや漠然とした心配ではない、と女のカンが告げていて、その懸念が彼女の決意を揺らがせているのだ。  逢うのは決まって平日の夜──仕事が終わってからであった。仕事で疲れているし、たまっている家事をこなさないといけないからと、土日の昼間にデートしたことは一度もない。逢える平日といっても、週に一回程度でそれ以上はない。一泊することもなかった。  それだけ聞けば不審がるような点はないようだが、逢っていない日の夜や土日は、どれだけこちらから連絡を入れてもすぐに返事がないのがどうにも気になる。電話をかけても出てくれない。
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