プレイボーイの資質とは

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 時刻は午前1時。終電の時間はすぎており、今から外へでてもタクシーでも使わないかぎり帰宅できない。 「コンビニで買い物かしら?」 「つけてみる」  前日と同じだった。女を置いて一人で去っていく──。コンビニに行ってまたホテルに戻る、という三条の考えは常識的ではあるが、たぶんそうではない、と先野は睨んだ。  あとは頼むと三条に言い残してドアを開け、パロッティーニを尾行する。  昨日は家に帰ってしまったが、今夜はどこへ行くつもりだろう……。  帰宅はしないだろう。もし帰宅するなら明日の朝でもいいはずだ。こんな真夜中に帰宅する意味がわからない。  別の女のところへ転がり込む? それも妙だった。こんな時間に歓迎してくれるとは思えない。職業やなにかの事情でこんな時間に起きている女もいるだろうが、その可能性はかなり低いだろう。  単純な浮気調査だと高を括っていた先野であったが、意外にも男の尻尾が捕まらない。  ──こうなったら、意地でも今夜の行き先を突き止めてやる!  先野は執念を燃やした。
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