理想のカレ氏

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 あとからカレのほうから連絡してきて、きちん詫びて好感がもてるが、その理由は言ってくれない。直接聞いてもはぐらかされた。  要は秘密の多い男なのである。カレの自宅に行ったこともない。  早奈にはそこが不満だった。  信用していないわけではない。信用していないわけではないが、結婚となれば自分の人生を託してしまうのだから慎重になるのも道理だ。  レストランを出て、カレの傍らでバーまでの距離を歩きつつ気持ちのいい夜風にふかれても、心の底に沈殿する重たいものがふつふつと意識に昇ってきた。バーのカクテルでごまかしても、ごまかしきれないな、と思うのだった。  そして、ひとり休日に家にいるときに、その不安の固まりはどんどん膨らんでいき、早奈にひとつの決断をさせた……。
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