ターゲットは超イケメン

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「なるほど、よくわかりました……」  と、先野光介はパタンと分厚いシステム手帳を閉じる。興信所「新・土井エージェント」所属の私立探偵として、面談コーナーで依頼者の話をしっかりと聞き終えたところであった。パーテーションでいくつものブースに区切られた面談コーナーは、事務所のすぐ横に併設されており、ここでのプライバシーは守られる。 「お任せください。きっちり調査しますよ」  依頼者である若い女──理山早奈は、 「お、お願いします……」  と、少し頭を下げたが、その台詞はやや震えていた。先野と名乗った目の前にすわっている、上下純白のスーツに、これまた白のソフト帽をかぶった、意味を疑いたくなるような服装の38歳の探偵にすがってもだいじょうぶなんだろうか、もしかしたら相談する興信所を間違えたのではなかろうかと、半分後悔し始めていた。
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