みんなしんだ

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れるままに森の奥へと進んでいく。所々絡み合った根が地面から顔を出し、枝は重く垂れ下がっている。景色は歩みを進めるほど薄気味悪さを増し、その中を男は歩調を緩めずに突き進んだ。 「森の入り口くぐり抜け、一際大きな樅の木を目指せ。樅の木右に曲がったら、朝日に背を向け真っ直ぐに。心臓と同じ形した大岩超えたらすぐ後ろ!」 しばらく歩けばそれまでの鬱蒼とした景色から一変した場所へと出た。開かれた視界に湿った土の匂いが立ち上る。目の前には風もないのに水面を波打たせる黒い湖が静かに佇んでいた。 「なんだ、泉じゃないか」 「お前は知らないだろうがこの泉はとてもすごい泉なんだ」  鳥が頭上を鳴き回った。 「とてもすごい? 鳥よ、俺に分かるように話しておくれ」 「言葉にし尽くしたところでお前に分かるものか!」  一際高い声を上げて笑う。男は日焼けた額に刻まれたシワをますます深くした。 「いいからその鳥を泉に放り込んでやれ」 「放り込むと、どうなる?」 「疑問ばかりの樵だな! 心が優しくとも臆病者か!」 「なんだ鳥よ、俺は学は足りないが勇気と親切心だけは人並み以上に持っている。泉に鳥を入れることの一つや二つどうってことはないぞ」  男は黒い水が土を濡らす際まで近づくと素早く鳥を手の中から落とした。たちまちのうちに湧き上がる波が小さな身体を飲み込みその姿を覆い隠す。瞬きの間に起こったそれを見ると男は一歩後ずさった。背筋に冷たい筋ができる。  次の瞬間のことだ。男の目の前から、一羽の小鳥が飛び立った。青い羽は黒い雫を滴らし、濁った赤色をした傷口が羽ばたきの合間に顔を覗かせる。男は目も口も大きく開き額に喜色を浮かべた。 「治った!」 「ああ、お前にゃそう見えるだろうな」  子供のように手を振る男へ鳥たちは哀れとも嘲けりともとれぬ顔をして言った。 「ありがとう鳥たち。これでこの鳥をあの子の元へ帰してやれる。さあ、お前の主人の所へ帰っておいで。きっとお前を心配している」  小鳥はその可憐な見た目とは裏腹に低い声で囀ると男の掌へ青い羽根を一枚落として木々の隙間を低く飛んで行く。男はそれをすっかり見送ると家に帰り、いつものように斧を手に取った。森に茂る木々を少しばかり切り倒し薪を作ると麻縄で縛り上げ、大きな体で苦もなくそれを持ち上げた。  白々と輝いていた朝日はすっかり天の中心を過ぎて淡い黄色へと色を変
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