相席屋

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「はあ。相席屋ですか?」 それは、ある日の午後の事だった。 俺、三谷翔平(みたに しょうへい)は26歳。とある広告代理店の営業をして4年目になる。 先程俺に話しかけてきた有馬祐人(ありま ゆうと)は31才で、俺が入社した当時から世話になっているベテラン社員だ。 太陽が傾き昼間と言うよりは夕方に近づき始めた午後、その日分のクライアントとの打ち合わせを全て終えた先輩と俺はオフィスに戻って肩を並べ、明日以降に向けての報告書と資料を作成していた。唐突に話しかけられた俺は、PCにデータを打ち込む作業の手を止め聞き返した。 「そう。相席屋。行けば見ず知らずの女の子と必ず同じ席に就いて話が出来るらしい。まぁ、平たく言ってみれば早い話がランダムな合コンセッティング屋だな。」 「そんな店が……あるんですね」 俺は止めた手を宙キーボードに戻し、空返事でまるで人事(ひとごと)のように相槌を打った。 はずだったのだが…… 先輩、有馬祐人(ありまゆうと)はそんな俺の様子などまるで気にする風も無く話を続けた。
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