きみの声を見失わないように

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 昔から、人と会話することが苦手だった。  幼稚園では一人で絵本ばかりを読み、小学校では図書室の隅で児童書ばかりを読み、中学からは一般向けの小説ばかり読んでいた。  とにかく人と話したくなくて、ずっと一人で本ばかりを読む毎日。当然、周りの私に対する印象は「本ばかり読んでる暗い子」。  けれど私は別に、人と話すことが嫌いというわけではない。家族とは普通に話せるし、冗談だって言う。それなのにどうして他人相手だと駄目なのか。  理由は簡単。コンプレックスだ。  幼稚園のときにみんなで歌を歌うことがあり、その練習をしていたとき。誰かが言ったのだ。「はなちゃんの声、ヘン!」と。  元々、人より少し声が高かった私は、合唱となるとよりその声が目立ち、歌がそんなに得意でなかったこともあって、自分の声が、歌声が、悪い意味で目立つことが、子供ながらにとても嫌で仕方なかった。
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