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「滝川?」
こんな自分に似合わない場所で聞こえた自分の名字にドキリと心臓が嫌な音を立ててざわつくのを感じながら、横に立っているであろう声の主を見る。
そこには同じ学校で、同じ図書委員の先輩でもある関口准弥先輩がいた。彼は学校でも学年問わず友人が多い人気者。私とは全く住む世界が違う人。そんな人が何で、と思ったけどその服装を見て納得した。きっと関口先輩はこのカフェでバイトをしているのだろう。その証拠にここの制服を着て、私が注文したミルクティーとフルーツパフェを私の前に置いた。
「お前、カフェなんて来るんだなー」
関口先輩の言葉がグサリと刺さる。やっぱり私なんかにはこんなオシャレな場所、似合わないよね。きっと関口先輩には何の意味もない、世間話のつもりで言った言葉なんだろう。そんな言葉一つにも、私は落ち込んでしまう。こんな自分が嫌だった。
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