きみの声を見失わないように

　「ごゆっくりー」と笑いながら先輩が去っていくと、ようやく私はふう、と一息ついて目の前のパフェを見る。いちごにキウイ、バナナとたくさんのフルーツとたっぷりの生クリーム。おまけにバニラアイスまで乗っているそのパフェは何とも綺麗で美味しそう。

　パフェ用の長いスプーンでそっとバニラアイスを掬(すく)って口に含むと、ひんやりとした甘い味が口いっぱいに広がり、思わず口がにんまりと緩んでしまう。早く次のが食べたくて、生クリームとキウイを一緒に口に運ぶ。生クリームは思ったよりも甘くなく、これならこの量でもあっという間に食べ終わってしまうだろうな、と思いながら食べ進めていく。

　合間に一緒に頼んだミルクティーも飲みつつ、食べ終えると急に我に返り、席を立つ。こんな、慣れない場所は落ち着かないから早く出たい。パフェはとても美味しかったけど、やっぱり私はこういうお店は苦手だ。