1027人が本棚に入れています
本棚に追加
「弁護士事務所に相談?上等じゃないか。あんたより俺の方がそっち方面に詳しいこと、改めて理解させてやるよ」
何事も無かったように私の手の甲を解放すると、桐島さんはせせら笑い、頬杖をつきながら言った。
「青山 真吾の借金連帯保証人の中に、緒方 菜々花が入ってるのは紛れも無い事実だ。青山が消えた今、返済義務はあんたにもある」
「あの時 真吾は、私の名前を形だけ借りるから、何も心配する必要ないって言ったんです!」
「子どもか、あんた」
何て幼稚なんだろうと自分でも思いながら つい出てしまった反論は、容赦なくバッサリ斬られた。
「書類内容をよく確かめもしないで、安易に実印や印鑑証明を渡したあんたが悪い。ま、それ以前に そんなゲスな男と付き合ってた自分を呪うんだな。気の毒に」
絶対〝気の毒〟なんて思っていない、小馬鹿にしたような 面白がっているような、桐島さんの顔。
最初のコメントを投稿しよう!