はじまりは…

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「弁護士事務所に相談?上等じゃないか。あんたより俺の方がそっち方面に詳しいこと、改めて理解させてやるよ」 何事も無かったように私の手の甲を解放すると、桐島さんはせせら笑い、頬杖をつきながら言った。 「青山(あおやま) 真吾の借金連帯保証人の中に、緒方 菜々花が入ってるのは紛れも無い事実だ。青山が消えた今、返済義務はあんたにもある」 「あの時 真吾は、私の名前を形だけ借りるから、何も心配する必要ないって言ったんです!」 「子どもか、あんた」 何て幼稚なんだろうと自分でも思いながら つい出てしまった反論は、容赦なくバッサリ斬られた。 「書類内容をよく確かめもしないで、安易に実印や印鑑証明を渡したあんたが悪い。ま、それ以前に そんなゲスな男と付き合ってた自分を呪うんだな。気の毒に」 絶対〝気の毒〟なんて思っていない、小馬鹿にしたような 面白がっているような、桐島さんの顔。
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