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しばし ボーイズラブの世界を堪能しようとウットリしていたのに、北川氏が急に私に向き直った。
「音々、色々と悪かった…あんたには感謝してる。まさか、親父からあんな言葉を聞くとは思わなかった」
はにかんだ優しい笑顔を見て、最悪だった北川氏の印象が、徐々に薄まっていく。
あの家庭環境の中、この人はきっと 望まずして鎧を身に付けていたんだ。
これからやっと解放されて、自分らしく生きていける。
素敵なパートナーと一緒に。
「今日は本当に、ありがとう」
本心からの言葉だと、素直に思えた。
レンタル彼女も悪くない。
少し そう感じた。
「いいえ、私は何も。どうか幸せになってくださいね。こちらこそ、良いもの見られてラッキーでした。出来ればさっきの続きを…」
お願いします、と言いかけて、二人にガン見され押し黙る。
もったいない、まだ前菜じゃん。
最後のデザートまで味わいたいのに。
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