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真吾が並べた紙には、難しそうな内容の細かな文字が びっしりと踊っている。
頑張って読もうとして、すぐ集中力が切れた。
『…ね、この書類の中身、掻い摘んで説明してくれる?』
『仕方ないなぁ、ざっくりと話すぞ』
ーーその時、一瞬だけ真吾がニヤリと笑った気がした。
『俺の説明の意味、わかった?』
『うーん…なんとなく。要するに私は、真吾がお金を借りる為に名前を貸すだけなんだよね?』
彼の説明は回りくどくて、途中から眠気もやってきた。
アルコールを摂取した頭には、尚更 何も入ってきやしない。
『お、菜々花にしては理解してんじゃん。確かに一時的に借金するけどさ、会社が軌道に乗ったら直ぐに返せるから、実質 お前は何も気にしなくていい』
『ホントかなぁ~?私、借金のカタに吉原に売られたりしてー』
『いつの時代だよ。IT産業がどれだけ儲かるか、菜々花だって知ってるだろ?』
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