はじまりは…

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それから真吾は、本当に直ぐに会社を辞めて〝起業〟する為に走り出した。 やがて私と会うどころか、そのうち連絡も寄越さなくなった。 大学の仲間と一緒とはいえ、会社を立ち上げるというのは相当大変なことなのだろうし、邪魔をしてはいけないと思っていた。 ーーあの日 桐島さんが 私の前に現れるまでは。 『緒方 菜々花さんですね?』 仕事が終わり、会社のエントランスを抜けた所で いきなり爽やかなイケメンに呼び止められた。 そこだけがカッコいいオーラに包まれていて、私だけでなく他の数人の女子社員まで 立ち止まる。 私の知り合いに こんないいオトコがいたっけ? けれど いくらイケメンでも、まるで待ち伏せしていたように声を掛けられ、フルネームを呼ばれるのは気味が悪い。 『…あの、どちら様ですか?』 『あぁ 失礼。名刺を…私は、こういう者です』
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