はじまりは…

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『〝夢幻(むげん)〟 代表取締役…桐島 龍生(たつき)…?』 全く身に覚えのない会社名と名前に、首を傾げた。 そんな私には御構い無しに、にこやかに話を切り出される。 『青山 真吾さんをご存知ですね?』 『は?はい』 『彼、行方不明になりましたよ』 『へっ?』 真吾が行方不明?! 『あなた、青山さんの借入金の連帯保証人のお一人ですよね。二百万円、用意していただきたい』 何、この人…? こんな時に 何の話をしてんの? 『真吾、どうしたんですか!』 『青山さんのことは、私もよく存じ上げません』 『行方不明って どういうことですか?!誘拐?犯罪に巻き込まれたとか?拉致?それとも』 『…うるさいな。俺はただ、二百万返せ、と言ってるだけだ』 笑顔の消えたイケメンの、バリトンボイスが私の身体だけに響く。 それは私を冷静にさせるのに、十分な迫力だった。
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