初めてのお弁当

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パチパチとはぜる油が、狭いキッチンの壁に飛び散った。 「熱っつー!!」 ついでに私の指にも油が跳ねて、一人絶叫する。 すぐに冷やしたいけれど、鍋の中の油がマグマのように沸き上がりそうで弱火にすることを優先した。 「鶏肉に火が通るまで揚げます?当たり前じゃん!あと何分したら火が通るのか、それを書いてよ!」 やっとシンクの蛇口レバーを下ろし、勢いよく流れる水で指を冷やしながら、スマホで検索した料理のサイトに向かい文句を言う。 揚げ物なんて、何年ぶりにするだろう。 その時だって まだ実家暮らしで、お母さんの手伝い程度だった。 「他には…ウインナーは炒めりゃいいでしょ、ブロッコリーは茹でて…卵焼き?!いや無理!成功したことないって!」 冷蔵庫にマグネットで留めた〝桐島メモ〟に突っ込みをいれる。 「何で私が弁当なんか作らなきゃいけないのよっ!それも知らない奴の為に!」
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