はじまりは…

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音々(ねね)ちゃん、またコンサート付き合ってね」 「は、はいっ!今日は素敵な演奏が聴けて、楽しかった」 そろそろデート終了の時間。 締めの言葉はこんな感じで良いのだろうか。 「嬉しいなぁ。彼のピアノはね、繊細なタッチが僕の好みでね、彼がウィーンに留学してから…」 …始まったよ。 話が長いんだ、このオジサン。 それでなくても超退屈なクラッシックピアノコンサートに付き合わされて、こっちは眠くて途中から白目剥いてたのに。 「やっぱりドビュッシーの曲はさぁ」 全く未知なる話題、これ以上は拷問だ。 明日も(おもて)の仕事があるんだし、早く帰りたい。 「音々ちゃんは好きな作曲家いる?」 「全然興味な…いえっ、知らなくて」 マズい、口が滑りそう。 「じゃあ、今度 教えてあげるよ」 「はぁ…」 今 私は、そんなことどうでもいいよ、みたいな顔になっていると思う。
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