私はレンタル彼女です

人生の主人公は、自分

北川氏と仁科くんがうまくいってほしいばかりに、北川両親に軽くジャブをかまして調子に乗っていた私は、桐島さんに怒られた。

〝レンタル彼女〟は危険と紙一重の仕事だと。
『人選ミス』とまで言われて落ち込んで。

それから暫く彼から連絡が途切れ、嫌で仕方なかったレンタル彼女から離れられた筈なのに、気分がモヤモヤしていた。

あの時、その桐島さんからいきなり着信があって…

待ち侘びた彼氏からの電話みたいに慌ててしまい、携帯を落として…

それを拾ってくれたのは

「見えちゃったんです、画面が。『夢幻 桐島』って。びっくりし過ぎると、人って案外冷静になれるものなんですねぇ」

「萌ちゃん…」

「夢幻で働いているのかと驚きました。〝レンタル彼女〟ってお仕事は知ってましたけど、詳しい内容を龍生さんから教えてもらったことはなかったから」

決して桐島さんとは目を合わせず、彼女は肩を竦める。