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「最初はね、本当に先輩が心配で龍生さんにいろいろ聞いたんです。大変なお仕事なんじゃないのか、危険な目に遭ったりしないのか…OLのお仕事もあるのに 無理に働いてほしくなくて。でも」
ふ、と目を伏せた。
「龍生さんはいつも先輩のことばかり話してた。私を安心させる為に言ってくれてるんだと思っていたけど、気がついたら そうじゃなくて」
「萌ちゃん…」
「初めてでした。龍生さんが女の人のことを一生懸命に教えてくれるのは。先輩がどれだけ魅力的か、どれだけ素敵な女性か、嬉しそうに楽しそうに…とっても愛しそうに」
見る見るうちに、萌ちゃんの顔が歪む。
お父さんが無言で腕を伸ばし 娘の肩に触れたのを、彼女は払いのけた。
「だから!だから私は…龍生さんがこれ以上先輩を好きにならないように、青山さんに近づいて嗾しかけたの!じゃないと、永遠に私に振り向いてくれないことが わかってたから!」
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