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萌ちゃんの心の奥底の、恐らくこれまで誰にも晒したことのない、どす黒く渦巻く闇の部分が堰を切ったように溢れ出す。
「桐島の借金のことだって、ずっと黙ってた。もう返済が終わってることを龍生さんが知れば、今みたいにパパに縛られる必要がなくなる。そうしたら、絶対に私の前から消えちゃうって」
我慢していたのだろう涙が、彼女の瞳からサラサラと落ち始めた。
「私は元々 一度も女として龍生さんに見てもらったことがないのに、お金の為に仕方なく側にいてくれてただけなのに、それでも龍生さんを失う方が何倍も嫌だったの!」
「…」
必死に思いの丈を話す娘を前に、お父さんは何も言えず茫然と佇むだけだ。
「結局、私がやってた事はパパと一緒!人を騙して威圧して、お金をチラつかせて、それで欲しい物を手に入れようとして!」
とうとう萌ちゃんは蹲ってしまった。
「こんな女を龍生さんが愛してくれる筈がないのに!わかってたのに!」
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