番外編 ② 〜 天使がやってきました 〜

13/18
1002人が本棚に入れています
本棚に追加
/524ページ
「うわぁーー!」 痛みの間隔が狭くなり 喋ることも出来なくなっていた菜々花が、突然 声を張り上げた。 『目的地まで、あと十分少々です』 ナビの無機質な音声が 場違いなアナウンスをする。 「何だ、どうした?!」 「ヤバい、マジでヤバい!ひゃーー!」 「お、落ち着いて。何がどうなったっ」 「桐島さんっ、み、水が」 「水?」 「破水、破水したみたいっ!」 ハスイ? 破水…? 『最終段階にくると破水します。お母さんはいよいよ最後の痛みがやってきて〝いきみ〟が始まります。そうなると、出産です!』 心臓が口から出てくるかと思った。 出産です!だと…? まだ病院に着いていない。 本当の本当に 車の中で出産が始まってしまうのか?! 「うーーん!」 菜々花が急に、これまでとは明らかに違う苦しみ方を始めた。 「お、おいっ」 「うーー!痛いーー!出そうーーーー!」 「やめろ、頼む、まだ出すなーーーー!!」
/524ページ

最初のコメントを投稿しよう!