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「うわぁーー!」
痛みの間隔が狭くなり 喋ることも出来なくなっていた菜々花が、突然 声を張り上げた。
『目的地まで、あと十分少々です』
ナビの無機質な音声が 場違いなアナウンスをする。
「何だ、どうした?!」
「ヤバい、マジでヤバい!ひゃーー!」
「お、落ち着いて。何がどうなったっ」
「桐島さんっ、み、水が」
「水?」
「破水、破水したみたいっ!」
ハスイ?
破水…?
『最終段階にくると破水します。お母さんはいよいよ最後の痛みがやってきて〝いきみ〟が始まります。そうなると、出産です!』
心臓が口から出てくるかと思った。
出産です!だと…?
まだ病院に着いていない。
本当の本当に
車の中で出産が始まってしまうのか?!
「うーーん!」
菜々花が急に、これまでとは明らかに違う苦しみ方を始めた。
「お、おいっ」
「うーー!痛いーー!出そうーーーー!」
「やめろ、頼む、まだ出すなーーーー!!」
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