はじまりは…

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ホイップをストローの先のスプーンで大切そうに掬いながら、桐島さんは綺麗な仕草でモリモリ口に運ぶ。 『…見て、あの人。カッコいいのにクリームなんか美味しそうに食べてる』 『…ホントだー。なんか可愛いねっ』 コソコソと話す女子トークが聞こえてきた。 ねぇ… カッコよくて、可愛いのに… 「キャバクラ、デリヘル、イメクラ…あぁ、一番早く借金返済出来るのはソープって教えたよね」 その口から飛び出すのは、何とも形容しがたい名詞の数々だよ… 「だからっ、そういうお仕事じゃなくて!深夜営業のファミレスとか コンビニとか、昼間の仕事が終わったら毎日働きますから!」 「…そんなので二百万、いつになったら貯まると思う?」 「…」 「期限までに金を返せなきゃ、呑気な事言ってらんなくなるよ」 ふとドリンクに目をやれば、いつの間にか ホイップクリームの部分だけキレイになくなっていた。
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