11章 不安的中…

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「おはようございます」 ドラマ撮影も順調に進む中、俺は久し振りに事務所に顔を出していた。 「おお、舞花に押し倒されたんだって?楠木から聞いたぞ」 「………」 俺は誰のせいだと言わんばかりの視線を社長に向けた。 「迫ってくるくらいなら可愛いもんだろ。なんて誰かさんは言ったけどね…楠木さんがこなかったら危うく犯されるとこだったよ」 嫌味も露に言ってやったけど堪えるはずもない。 「はっ…そりゃ危なかったな」 「……あいつ細いくせに力ありすぎっ…」 「そりゃそうだ」 「……?」 「舞花の親父さんはレスリングのコーチだ。舞花は中学までレスリングやってたからな…」 「なにそれっ!?」 初耳だっつーのっ!! 髭のチンピラは今更な情報を俺に教えた。 「骨が太くなるからって高校ではやめてる。舞花は高校デビューってヤツだ」 「なる…」 それであの押さえ込みかよ…身動きできないはずだわ… 「下手したら俺、ヤられちゃうじゃん」 「だな…はは」 軽い笑いになんだかムカついた。 「でも、ちっとは考え直しただろ?真面目に芝居に打ち込み始めたって楠木から聞いたぞ?」 「さあ…」 確かに髭の言う通り、俺に迫って楠木さんに連れて行かれた次の日から、舞花はやけに大人しかった。
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