11章 不安的中…

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・ 俺に言われた事が堪えたのか、近付いてくる様子が見られなかったし…… 諦めてくれたならこっちも助かる。 ただ、こんなあっさり身を引くならちょっと言い過ぎたかな…なんて少しばかり良心も咎めたりしているわけで。 「……お前に認められるように頑張るんだと」 「は?なにを!?」 「芝居だよ、シバイっ!」 「……っ」 「お前に言われたって。演技の技術を身に付けたらほんとの恋人になれるかもって──な?」 「………」 「言ったんだろ?」 「……言っ……た」 「御愁傷さま」 ゆっくり頭を抱えた俺に髭はそんな言葉を投げ掛けていた。 「まあ、なんだ…舞花がやっとやる気になってくれた!俺は万々歳だな!さすが聖夜だ。お前でアイツを釣って良かった」 饒舌に語ると髭は豪快に笑っていた。 俺は頭を抱えたままだ… 舞花って… 結構根性ある… やっぱ小さい時からスポーツしてるヤツって負けん気が強いのか?… 高校デビューか… 見た目ダルそうなチャラさがあるけど女は外見じゃわかんねーな… 「マジで演技の腕上げたらどうすっかな…」 「お前が認めなきゃいい話だ」 俺のボヤキに髭は言う。 「そうすれば舞花はもっと頑張って腕を磨く、いいことづくめだな俺にとって!」 無責任な明るい笑顔に腹が立った。 ・ 社長は言いながら上着を手にして腰を上げる。 「どこ行くの?」 「ちょい打ち合わせ!」 「そ?……」 「ああ、…じゃあ行ってくるわ」 やけにニヤリとした顔を俺に向けると社長は事務所を出て行った。 静かになった事務所でテーブルの上にあった新聞の広告に目が向いた。 資格コースなんて名目で沢山の職種が並んでいる── 俺は何気にそれを眺めていた。
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