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晶さんとの仲は良好──
それこそ幸せ過ぎてコワイッてやつだ。。。
社長の自宅を出て半月…結局は一日と開けず自分のマンションから晶さんの元へ通う日々が続いている。
──だって…
目を離すと何をしでかすかわかんないし……。
まだ、確認したくてもできないことも沢山ある。
正直、見張ってないと不安。
はっきり言ってその点では俺は晶さんを信用していない。
何を隠そう、晶さんは浮気の前科者──
俺にしてみれば、第一級並の犯罪者だ。
二人の仲が上手く行き過ぎてるからこそ曖昧になっているわけで、見えないところで大きなアザになってなきゃいいんだけど…
俺は晶さんから貰った誓約書のメールを眺めた。
一応、保存はしてあるけど破棄内容の訂正はまだされていない──
たかがメールなのにこんな小さなことさえも気にかかり俺は不安になっていた…
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「すみません、アイスカフェオレ二つ!」
カランとドアの鐘がなる──
店に入るなり馴れた感じで飲物を注文するダンディな二人組の中年。
最近、通うようになってきた二人はここ、喫茶「和らぎ」の常連になりつつある。
「いよう晶!」
「いらっしゃい、楠木さんも今日は一緒?」
「ああ、聖夜が午後からドラマの撮影でもう局入りしてるから少し抜けてきたんだよ」
「なるほど」
そう納得するなり、健兄は本題に入った。
「──晶、ちいっと頼まれてくれないか?」
「用件聞いてから考える」
「…しっかりしてんな~……」
笑顔を向けたあたしに健兄は口を尖らせてぼやいていた。
昼を過ぎた今の時間が一番店が空いてる。
「なんの頼み?」
「晶さんに合いそうな臨時のアルバイトなんだけどどうかと思ってね?」
「臨時の?」
楠木さんがそう割り込んできた。
「今回だけ試しにどう?」
あたしは楠木さんの言葉を聞いて後ろに居たマスターを振り返った。
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