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「喫茶店の繁盛日と重ならなきゃ晶しだいだろ?」
「いいの?」
「ああ。カミさんも毎日、土いじりの講習行くわけじゃないからその辺のスケジュール合わせてできるならな」
あたしはマスターの言葉を聞いてカウンターの二人を向いた。
「──…ってことなら」
「決まり!」
健兄は手を打ってそう言った。
「今回だけだよ?」
「……わかってるさ」
言ったはいいが、健兄はなんか企んでる顔だ。
てか、何をさせる気何だろう?
「まさかビキニ着ろとか言わないよね!?」
「…ふっ……」
「…なぜ笑う?…」
笑う健兄を見て思った。……なるほど、地味に苛つくって夏希ちゃんが言ってたけどこのことか?──
白い目で見るあたしをフォローするように楠木さんが声を掛けてくる。
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「大丈夫、派手な露出はないから」
「そうならいいですけど…」
まあ、身内だし居候もさせてもらってるから多少の頼みは恩返しと思ってあたしはこの話を受けた。
健兄は帰る間際にあたしに口止めしてくる。
「聖夜には内緒にしといてくれよ?あれは煩いからな」
「うん、何となくわかる気がする…」
そう答えたあたしに手を振ると健兄は店を後にした。
楠木さんはさっきから携帯電話を弄っている。
点滅していた電話を受けると「カウンターに居るから」
短くそう返して電話を切っていた。
「ドラマの収録が終ったから一人家まで送らなきゃいけない…アイスコーヒー追加でお願いできる?」
「はい、すぐ用意しても?」
そう尋ね返した瞬間店のドアが開いた。
でた…
入り口から現れた彼女を見てそう思った──
相変わらずボヨ~ンだ…
カウンターに向かってくる彼女を確認するとあたしはすぐにアイスコーヒーを準備した。
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