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以前着たときの巻き髪と違い、今日はサラサラなストレートのロングヘアーを靡かせて歩いてくる。
カウンターの椅子に腰掛けると彼女からふわりとした甘ったるい香りがほのかに香った──
「──…」
ん…
この匂い──
どこかで嗅いだことある匂いだ…
あたしは無意識のままアイスコーヒーをカウンターに差し出しながら香りの記憶を辿っていた…
「ええっアイス!?あたしホットがよかったのにっ」
なぬっ!?
こっちは頼まれた物を出したんだぞっ
ちょっとムッとするのを堪えていたら…
「すぐ出るんだから早く飲めるものを頼んだんだよ。そういう所に頭を回さないと聖夜に嫌われるぞ!」
楠木さんに怒られて彼女はしぶしぶストローをグラスに差して口にした。
──こらこら、あたしはその聖夜の恋人ですけど?
楠木さん知ってるじゃないっすか!?
カウンターの二人を見ながらあたしは胸の内でツッ込む。
そう思いながら再び、
ん?──となった。
聖夜…
そうだ……
この匂い…
夏希ちゃんが纏ってた匂いと同じじゃん…
ちょっと──
どゆことっ…
そんな強い疑問を浮かべるあたしをよそに、目の前の彼女は何やら嬉しそうに楠木さんに話し始めた。
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「ねえ、聞いてっ」
「なんだ?」
「今日の濡れ場のシーンでさ、聖夜ったらね…」
濡れ場っ──
夏希ちゃんの名前が出た時点で勝手に聞き耳が立ってしまう。
彼女をちらりと見ると赤い顔で高揚したような笑みを溢していた。
「濡れ場でどうした?NG連発か?」
「違うのっ一発OKなんだけど」
「……で?」
「あたしを押し倒して勃起しちゃってんの聖夜ったらっ…」
──…っ!?
思わず洗い物していた手が滑り、あたしは派手にグラスを割ってしまっていた…
カウンターの中で激しい音を立てて詫びるあたしに彼女はどこかしら勝ち誇ったような笑みをチラリと見せた。
「……っ?…」
あれ…もしかしてあたしが夏希ちゃんの恋人って──…知ってる?
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