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これ以上何かを聞かれることを懸念したのか楠木さんはお釣りを受けとるとそそくさとその場を退散した。
「でっち上げ…」
でっち上げでも恋人同士で居たことに変わりはない──
あたしと知り合う前なんだからその事に関しては何にも言えないけど──
じゃあこの間の夏希ちゃんから香った匂いは何?──
尋ねた時のあの取り乱し方は?──
ただ傍に居ただけで香水の匂いってあんなに付くものなの?
髪にまで匂香って移るもの?──
“あたしを押し倒して勃起した──”
「……っ…」
するもんっ
夏希ちゃんはヘンタイだからいつどんな時でも勃起するんだからっ…
あんたが相手だろうと誰だろうとっ──
すぐ勃起するくらいヘンタイなんだからさっ…
自分のせいで夏希ちゃんが興奮したような言い方やめて欲しいんだけどっ!?──
「晶、頼むからレジ壊さんでくれよ?」
「なにっ?」
レジのボタンを叩くあたしにマスターは後ろから声をかける。
あたしはマスターを振り返った。
「……お、どうした晶?これから売りだそうって奴が、んな魔神のような形相して?…」
「うるさいっ!マスターっ仕事してっ」
「……っ…」
魔神の勢いで当たり散らす。マスターは逃げるように厨房へと身を隠した……。
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