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「生まれ変わってもまた一緒になりたいね」  祖父はそう言って亡くなったらしい。大正生まれの祖母が頬を染めて話していたのが忘れられない。  私はおばあちゃん子で、幼稚園に入るまでのほとんどの期間、祖母の家で育った。  ちょうど弟が生まれたりした都合もあったらしく、私にとっての祖母は「もう一人の母」でもある。  だから、当時付き合っていた彼氏との結婚を意識した時、一番に会わせたいと思った。  祖母は彼を歓迎してくれ、私はとても嬉しかった。その後の両親との引き合わせがうまくいったのも、祖母が「いい人だよ」と口添えをしてくれていたからだと思う。  この一つの出来事をとっても、私にとっての祖母は、とてもかけがえのない人だが、祖父は対照的だ。  早くに亡くなったせいか、ほとんど記憶にない。  おぼろげな記憶にあるのは、亡くなる数日前、布団に横たわっている姿と、お葬式のあとも片付けられていない冷たい布団だけだ。  祖母は、祖父が亡くなるときに使っていたその布団を、しばらくの間、片付けられないでいた。  まだ幼かった私には、当時の祖母の気持ちは全く理解できなかった。
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