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人の邪魔にならないように避け、ポケットを探るが見つからない。
「あ、カバンかも」
「無くしたとか言うなよ?」
「あるって、多分」
カバンをゴソゴソ探し、カードケースを見つけてため息をついた。
これでやっと帰れる、そう思った瞬間、
「ーーーゆづ?」
いきなり声をかけられ、声のした方向を見ると、それはあの従兄弟だった。
俺にも気付き、少しだけ目を細めた。
「…マサ兄!こんなとこでどうしたの?」
「仕事だよ。
2人は…どこか行ってたの?」
「お疲れ様!
うん、2人で色々したんだ。だよね、柊羽」
「…ああ」
「…ふーん」
その従兄弟は俺を頭のてっぺんからつま先まで、なにかを評価するかのように見て、俺達に笑顔を向けた。
…でもその目は笑っていなかった。
「仲良くなったんだね、よかった」
「うん!…じゃ、じゃあオレ達帰るからま…」
「ーーーオレも帰るよ。一緒に帰ろう?
ていうかゆづ、そんなに荷物持ってどうしたの?
オレも持ってあげる」
結弦の話を遮り、従兄弟は半ば強引に結弦の手からぬいぐるみの入ったゲームセンターの袋を奪った。
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