「常世国」からの化身の役行者

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は外従5位下の韓国広足と申します」 「そうか、朝廷に仕官する者か、して、わしに何の用か」 「世間の噂を聞き、小角様が呪術を持って、峰々を鳥のように、仙人のように、天狗のように飛び回られるお姿を聴き見て、それがしも、神仏を敬い、小角様のような神通力を得たく思い、参った所存でございます」 「何に、神通力を感得したいと」 「小角様のように修行をし、呪術を感得し等ございます」 「無理じゃ」 と言って姿は一瞬に消えてしまった。 翌日も葛城の山中を広足は探し回ったが、見つからず、根気よく弟子に成ることを目指した。 7日目の事、一陣の風と共に姿を現した小角は 「お前の熱意に弟子にしてやろう」 「ありがたきお言葉、恐れ入ります」 「呪術、神通力を感得するには厳しい修業が必要じゃ、できるか?」 「覚悟がございます」 「それでは、ついてこい」 葛城山中の洞穴に連れて行き 「良いか、この洞穴に孔雀明王の呪術を伝授する。蔵王権現増に日夜般若心経を唱え、一日一回この山を一本歯高下駄で一周駆け巡れ」 と言って姿を消した。 役行者の像には、岩座に座り、脛(すね)をむき出しに、一本歯高下駄を履いて、右手に巻物、左手に錫杖、頭に頭巾、
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