「常世国」からの化身のかぐや姫

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した捨丸を始めとする木地師たちが戻ってきた。 捨丸と再会した姫は、捨丸となら幸せになっていたかも知れないが 「もう遅すぎる、逃げられない」 と語った。 「それでもお前と逃げたい」 と言う捨丸に姫は喜び、二人は不思議な力で空中を舞、手をつなぎ、抱きしめあった。 だが空に月が現れた時二人は離れ離ればなれになり、その逢瀬は捨丸には夢として認識される。 捨丸は自らの妻子らのいる木地師達のいる元に帰った。 8月15日の満月の夜、武士たちが警護する翁の屋敷に、姫を迎える天人たちの一行は曇も上に乗り訪れる。 天人は守りを固めたていた者達の未知の力で眠らされた。 さらに、姫の正気を失わせ、その体を曇の上に招き寄せる。 天人に勧めらえるままに地上の記憶を失う天の羽衣を着ようとしたとき、女童と子供たちが歌う童歌を聞いて姫は正気を取り戻す。 その間に翁と媼に泣きながら別れを告げた。 「月に戻れば心乱れることもなく地上の穢れもきえる。」 と言う天人の女官の言葉に、姫は 「地上は穢れてなどいない」 と抗弁する。姫のすきを見て、羽衣を着せられ、姫は一行と共に去っていく。 去りながら、突然気づいたように、地球に振り向いた姫は、地球での暮らしの記憶を失ったはずにも関わらず、目に涙を浮かべていた。 姫は「常世国」の化身だったのか。
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